もともと人間の体内にも存在している物質である重曹は、
研磨作用、消臭作用そして油汚れ落としのように
万能洗剤でありながら、安全安心なものです。
重曹を換気扇などの油汚れを落とすのに
よく使われているのはご存知だと思いますが、
子供が食べかすをよく服につけてしまう
油汚れなどを落とすために洗濯にも使えるのです。
そこで、
・油汚れを落とすメカニズムとは?
・重曹を使った洗濯方法とは?
についてご紹介したいと思います。
油汚れを落とすメカニズムとは?
重曹が油汚れを落とすメカニズムを説明します。
クレンジング効果
重曹(炭酸水素ナトリウム)は、
比較的水に溶けにくい塩と考えられます。
したがって、重曹の粉を散りばめて擦れば、
クレンザーと類似の効果によって
汚れを擦り落とせることになります。
また、硬度は2.5程度であまり高くなく
適度に軟らかいので、傷つきにくいです。
油脂の加水分解
脂肪は水と混ざらず分離したままの状態になります。
しかし、重曹と水を混ぜることで、
重曹により弱アルカリ性になり、
水酸化イオン(OH-)が水に溶け込んでいます。
このイオンが脂肪やタンパク質と反応し、
加水分解を引き起こします。
脂肪は、ケン化によってグリセリンと脂肪酸の
ナトリウム塩(石鹸の主成分)に分解されます。
さらに、タンパク質も
アルカリ水溶液によって加水分解されます。
この分解反応は手がぬるぬるすることで確認できます。
脂肪酸塩のミセル化
脂肪酸ナトリウム塩は、
水に溶けにくく油となじみやすい新油性の「炭化水素基」と
水に溶けやすい親水性のイオン基で構成されます。
このように疎水性と親水性の性質もを界面活性と言い、
汚れを落とすのに重要な性質です。
脂肪酸塩が油汚れと遭遇すると、
油の方に新油性の「炭化水素基」がひきつけられ、
親水性の「イオン基」が外側に向いて玉状を作り上げます。
この玉状のものをミセルと呼びます。
そして、石鹸と同様に、
脂肪酸塩は水に溶けない油汚れをミセル化して分散させます。
重曹を使った洗濯方法とは?
重曹を使った洗濯を上手にする方法のコツは3点あります。
ぬるま湯を使う
水に溶かしただけでは重曹が衣服に白く残ってしまったり
洗濯機用ホースを詰まらせたりするので、
十分に溶かすため40℃程度のぬるま湯を使います。
お風呂の残り湯でも問題ないです。
ホースが詰まった場合はお湯を流せばOKです。
適量な重曹を守る
重曹をたくさん入れても洗浄効果は変わりませんので、
必ず適量以上に重曹を使わないようにすることです。
天然素材には使用しない
天然素材のものを変色させることがあるので、
麻などの素材の衣類は
重曹で選択しないようにするよう気をつけることです。
最後に、
「重曹は洗濯には適していない」という人もいますが、
食べず嫌いにならないで、まずは試行してみて、
自分で納得してから、
使うか使わないかを決めたほうが良いと思います。
重曹自体そんなに高いものではないので。